今週は、ビートルズのTomorrow never knowsをご紹介します。
以前紹介したノルウェイの森とIn my lifeはポット・アルバム、マリファナでハイになったときに作ったアルバムと呼ばれているのに対して、今回のTomorrow never knowsは1966年にリリースの7枚目のアルバム「ラバーソウル」、別名LSDアルバムと呼ばれるリボルバーに収録されています。ビートルズはその作品を作る上で薬物利用によるトリップを取り込んでいるというのは有名な話です。目がトローンとなるマリファナの影響を受けたノルウェーの森やIn my lifeとは一味違う、ちょっと飛んでる曲が今日のTomorrow never knowsです。タイトルは、リンゴ・スターの何気ない一言からとられたものだそうで明日の事はわからないという意味です。文法的にどうとかいうのはちょっと置いておきましょう。
ビヨヨーンという効果音とカモメの鳴き声のような音から始まるこの曲は、今までの曲の作風とはガラリと変わり、ビートルズとしては初めてのサイケデリックな曲だとされています。インドの楽器、タンブーラを使ったりテープの逆再生やループ、サンプリングといった今でもテクノやクラブ音楽で多様されている録音技術がふんだんに使われています。そして歌詞もちょっと飛んじゃってるようにボクは思います。
東洋哲学に凝っていた時期でもあり、そこにある世界は色即是空、空即是色の般若心経のようです。曲調とも相まって、なかなか頭がクラクラする曲だと思います。
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心のスイッチを一度切って肩の力を抜いてごらん
流れに身を委ねてゆらゆらと 死とは違うんだよ
頭の中を空っぽにして 無になってみよう
そうするとほら、光が見えてくるだろう?
内なる世界の意味がだんだんとわかってこないかい?
そこにそれが存在することを感じるだろう?
それが愛であり、愛とは人々みんなのことなんだ
どう?わかってきたんじゃない?
無関心や憎しみは死人の大好物
そんなことよりボクたちは信じようよ
キミの夢の色は何色だい?
聞いてごらん、耳を澄まして
聞こえてくるはずだよ
でもそこに生(せい)はないのかもしれないね
「存在」という名前のゲームをやってみるかい?
最後まで
それが始まりの終わり、 終わりの始まり、
始まりの… 始まり… 始まり….
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ね?なんだかボンヨヨヨ~ンって気持ちが伝わってきませんか?
この世とあの世のはざまをさ迷っている、信じる/信じないじゃなくて、もうそこにあることを素直に受けいれようと肩の力を抜いて脱力しているビートルズが語りかけています。キミの夢の色は何色だい?というのは、涅槃(ねはん)の景色を問いかけられているようです。
歌詞はチベットの「死者の書」について書かれた「チベット死者の書サイケデリック・バージョン」(The Psychedelic Experience: A Manual Based On The Tibetan Book Of The Dead)という本だそうです。哲学的かつ抽象的な詞ですから、みなさんも酔っぱらったときに想像するとこの歌の世界に近づけるんじゃないかと思います。ボクはお酒が一滴も飲めないのでこの歌の境地にはたどり着けないんだと思います。瞑想の世界の入り口みたいですね。
さて、この曲のタイトルですけれど、Mr. Childrenにも同名の曲がありますよね。90年代のドラマの主題歌にも使われた名曲です。ミスチルはビートルズの影響をかなり受けているようで、この曲のように同名のタイトルの曲があるほか、Cross Roadでは、Ticket to rideとかWinding roadとか、ビートルズを連想させる単語が歌詞の中に出てくることがよくあるんだそうですよ。ほかにもありますから、気を付けて聞いてみるのも面白いかもしれませんね。なんかこの曲が頭の中でぐるぐる回って気持ち悪くなっちゃいました。w