今週はスティングのラシアンズ(ロシア人)です。まだまだ終わりが見えないロシアのウクライナ侵攻を思い浮かべざるを得ません。
この曲は1985年の初ソロ・アルバム『ブルー・タートルの夢』に収録されており、当時のソヴィエトとアメリカの冷戦で核の利用をするな!という歌です。
この曲は長い間めったに歌われませんでした。この曲が再び重要な意味を持つとは思わなかったからだそうです。ですが「また平和で脅威のない隣人を侵略するという、一人の男による残忍で酷く間違った決断を考えると、この曲は再び我々人類共通の願いとなる。この野蛮な独裁政治と闘う勇敢なウクライナ人と、逮捕と投獄の脅威にさらされながらも暴挙に抗議する多くのロシア人のために……。僕ら全員が子供たちを愛している。戦争を止めてくれ」というメッセージビデオとともにこの曲を再収録しYouTubeにあげています。そして、ウクライナへの支援活動を展開しています。
この曲の原曲となったのは19世紀後半から20世紀のロシアの作曲家プロコフィエフによる交響組曲「キージェ中尉」の第2曲「ロマンス」という曲で、その曲に歌詞をつけたのがラシアンズです。歌詞にはフルシチョフ、レーガン大統領、米ソ冷戦、原爆の父オッペンハイマーなどが出てきます。85年当時を思い出させる内容です。
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ヨーロッパやアメリカがそわそわしている
驚異にどう対応したらいいのかわからない
あれはどう解釈すればいいのか?
フルシチョフは「皆殺しにしてやる」
なんてバカなことを言うんだ
そんなことできるはずがない
もし、ロシア人も自分たちの子供を愛しているのなら
原爆からどうやって子供を守ったらいいのだろう?
どちらの常識も正解とは言えない
思想とは関係なく、私たちはみな同じ人間なのだ
ロシア人も自分たちの子供を愛していることを心から願うしかない
人類史上かつてない出来事
戦争に勝者はいないと
レーガン大統領は国民を守ると言ったけれど
信じていいのものか疑わしい
それよりも、私はロシア人も自分たちの子供を愛していると信じたい
思想など関係なく、私たちはみな同じ人間なのだから
私たちを救えるのは、ロシア人も自分たちの子供を愛しているということしかない
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ロシアのウクライナ侵攻を正しく理解するためには両国の歴史を知る必要があると思います。
ロシアとウクライナの間には切っても切れない関係性があるんですね。同じスラブ民族です。スラブっていうのはほかにはクロアチアとかセルビア、ブルガリアなどの国があります。
両国でまず台頭したのは、8世紀から13世紀に栄えたキエフ公国でした。中世には東スラブ文化の中心として、今のウクライナ、ロシアにまたがる地域を治めていました。
ウクライナという名前の意味は国境とか辺境だそうです。一度は栄えたはずなのに、そこが辺境と言われてしまうのは、そこに権力の移動があったからなんだと思われます。ヨーロッパはいろいろな民族が年中喧嘩していて勢力図はしょっちゅう変わってたんですね。
近代になるとソビエト連邦が成立し、その中心はロシアだったわけです。
このようにロシアとウクライナは同じ民族で特に関係性が深い一方で、お互いに自分たちこそが本流であるという自負があるんですね。
それなのに、ウクライナは自分のもとを離れ、西側諸国に歩み寄ろうとしている。そんなウクライナをロシアは許せなかったのです。武力行使という手段が許されることはありませんが、歴史的経緯を考えるとロシアの気持ちもわからないではない気がします。
経済面に目を向けると、ロシアとウクライナは小麦の生産量が世界3位と8位で、世界の小麦の約13%を生産しています。この混乱で小麦の流通が滞っています。また、西側諸国によるロシアの経済制裁の対象として天然ガスの輸入が禁止されています。
食料、エネルギーに関することですから、私たちの生活にも直結してきます。 そういう意味でも早期の終息を願わずにはいられませんね。