今週は、どゆソン2回目の登場のナット・キング・コールをご紹介します。今回の曲は1991年、実の娘であるナタリー・コールがナット・キング・コールのビデオとダビングする形でデュエットしたアンフォゲッタブルをお届けします。この曲はグラミー賞の最優秀レコード賞など3賞を獲得しました。
ナット・キング・コールは、黒人差別の真っただ中、アラバマ州モントゴメリー出身。牧師の父と教会のオルガン奏者の母のもとに生まれました。その後、当時のジャズのメッカ、シカゴに引っ越します。子供のころから母にピアノを習い10代でピアニストとして活動を始めます。本人は歌手になるつもりはなかったそうなのですが、出演していたクラブの客からのたってのリクエストで歌うようになりました。クラブの客というと、酔っ払った客に紙の冠を被せられてからキングと言われるようになったんだそうです。
スタンダードナンバーを如何に個性的に歌うかがジャズ歌手の腕の見せ所なんですけれど、温厚な性格をあらわすような深みがあって腰のある声に加えて、適格な音程、リズム、癖のない発音が人気となりました。
その人気は音楽だけに留まらず、40歳でテレビの冠番組を黒人で初めて持つことになりました。
しかし、タバコが大好きだったこともあり、45歳の若さで肺がんで帰らぬ人となりました。
そのとき14歳だった娘のナタリー・コールは父のような歌手になると誓ったそうです。そして、1991年、ナットの娘ナタリー・コールによる、亡き父が歌った音源とのオーバーダブによる「共演」が大きな話題を呼び、翌年の第34回グラミー賞において「ソング・オヴ・ザ・イヤー」等の賞を受賞したのがこの曲です。
アンフォゲッタブル。忘れがたき人という意味です。亡き父とのハイテク共演のビデオなんですけど、娘であるナタリーにとって、この忘れがたき人というのはもう父しかないんじゃないでしょうかね。
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忘れがたき人
あなたのことを忘れるなんてできっこない
忘れがたき人
遠く離れていても、傍にいても
いつまでも耳から離れないラブソングのように
ずっと私の心の中にある あなたへのこの気持ちは
今まで感じたことがない感覚
忘れられない人
どんなことよりも
そしてずっと永遠に
あなたはずっと私の心の中にいるの
だから、ダーリン
信じられないかもしれないけれど
忘れられないのよ
そんな風に私もあなたの心にずっといられるといいな
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この曲は、2016年の映画「ファインディング・ドリー」のエンディングテーマにも使われていまて、その関係で日本語吹き替え版のエンディングは八代亜紀が英語で歌ってます。
ほかにもサミー・デービスJr.、アリサ・フランクリンがカバーしています。
もともとの曲はナット・キング・コールひとりで歌ったのが1951年。なんと70年以上前なんですけれど、当時のレコードの容量の制限もあり、今の感覚だと短いですよね。
ナット・キング・コールのヴェルベットヴォイスとも称される桁違いに穏やかな歌声といつ見ても絶さないような真摯の優しい笑顔から得られる人間的な魅力。もともとはきっとラブソングなんでしょうけれど、親子共演のこの歌を聞いたら、親子の愛、少女時代に亡くなった父を思う娘の愛を感じずにはいられませんね。
お盆を過ぎたところですが、大好きだったおばあちゃんとか、思い出しませんか?