今週は、ビリージョエルの”Just the way you are” (素顔のままで)をお届けします。ニューヨークのご当地歌手ビリーのシリアスなラブソングです。タイトルのJust the way you areは、直訳すると「ただ、あなたのやり方で」という意味ですが、つまりは「ありのままのあなた」「素顔のままで」という訳になったのだと思います。
この曲は1977年9月にリリースされて大ヒットしたビリーの5枚目のアルバム「The Stranger」に収録されています。グラミー賞の最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞に輝きました。
ビリーは身近な題材を歌詞にすることが多くて、だからニューヨークの地名がたくさん出てくる曲が多いんですが、もう一つのよくある題材が女性です。この曲はビリーの当時の奥さんであるエリザベス・ウェーバーの誕生日に送られた曲だそうです。
エリザベスはもともとは親友の奥さんだったんですが略奪婚なんですね。エリザベスにぞっこん(これって昭和のことば?)だったみたいです。
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ボクを喜ばそうと思って無理に変わろうとしなくていいんだよ
キミに失望することなんて絶対ないから
キミに飽きることなんかないから大丈夫
何か問題が起こったとしても、キミを離したりはしないさ
だからここまで来られたんだろう?
幸せなときだろうと、つらいときだろうと、
ありのままのキミでいてくれればいいのさ
最新のファッションを追いかけなくてもいいよ
髪の色なんて変えないでくれよ
口には出さないし、そっけないフリをしてるけれど、
本当はボクはキミにめちゃくちゃにはまってるのさ
別に難しい話なんかしたいわけじゃない
そんなに必死になりたかない
ただ、本音を語りあえる相手が欲しいだけさ
ありのままのキミでいいんだ
ボクが知っている昔のキミのままでいて欲しいんだ
どうしたらそれをキミは信じてくれるんだい?
ボクがキミを信じているのと同じようにさ
永遠にキミを愛するって言っただろ?
心の底から約束してるんだ
これ以上ないってくらい愛してる
今のままのキミがいいんだ
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エリザベスについてビリーは、デビューアルバム「コールドスプリング・ハーバー」の1曲目、「シーズ・ガット・ア・ウェイ(She’s Got A Way)」や3枚目のアルバム「ピアノマン」収録の「僕の故郷(You’re My Home)」でもその愛を歌っていました。
恋多き色男なのか、女を見る目がないのか、ビリーは3回離婚して4回結婚しています。エリザベスは最初の奥さんでして、このように最初のうちはZokkon命(と書いて「ぞっこんラブ」byシブがき隊。覚えてる?)だったのですが、ビリーがヒットを放つようになって段々エリザベスとの関係性が変わってきてしまいます。ビリーのマネージャーとして仕切っていたやり手ビジネスウーマンとして金の亡者となったエリザベスの変貌を悲しく感じたビリーの心を綴った曲です。
がらりと変わってしまったエリザベスに対して、ずっと昔のままのキミでいてくれよ….と願った最後の曲です。
その後、「ストレンジャー」では「人はみな、いろいろな顔を持っていて、他人には見せない顔を持っている」と歌い、「ガラスのニューヨーク」でも「キミが言う通り、ボクが狂ってるのかもしれないね」と歌っています。
とまぁ事実としてはちょっとヒリヒリするような話になってしまうんですが、 毎日一緒に過ごしていて、それが家庭とビジネスで24時間一緒にいれば衝突するとこもあるでしょうし、人の心は変わってしまうこともあるのでしょう。それでも、その時その時の気持ちにウソはないはずで、時々昔のことを振り返ったりしてみると、その思い出はとってもピュアな自分を見ているような気持ちになると思うんですよね。