今週は、クリストファー・クロスのRide like the wind (邦題: 風立ちぬ)をお届けします。今週はたまにある、どゆソンのびっくり回です。
クリストファー・クロスはアメリカ南西部のテキサス州サンアントニオ出身のシンガー、そしてギタリストでもあります。米軍の産婦人科医であった父の仕事の関係で首都ワシントンに生まれ、幼稚園から小学校低学年にかけては東京に住んでいたそうです。その後お父さんはサンアントニオの基地勤務になり、幼いクリスは西部劇の世界で育ったんだそうです。ちょうど今来日してて、昨日まで東京横浜でライブをしました。明日、あさっては大阪でライブをやります。
クリスはそのあまりにもクリアーなハイトーンボイスのインパクトが強すぎてあまり知られていませんが、割とゴリゴリめのロックギタリストでもあって、リッチー・ブラックモアが風邪で寝込んだときにディープパープルの代打ギタリストを務めたこともあるそうです。
今日紹介する曲は、デビューアルバムChristopher Cross(邦題: 南から来た男)に収録されています。のちにヨット(船の)・ロックとも言われる新しいジャンルを築くアルバムは、5つのグラミー賞を取りました。そして今回の曲はそのアルバムからの第一弾のシングルです。邦題の風立ちぬは1936年の堀辰雄の小説のタイトルですが、ご存じ聖子ちゃんにも同名の曲がありますね。クリスの曲は1979年ですから、聖子ちゃんより2年ほど早かったんですね。
曲の雰囲気に騙されてはいけません。曲だけ聞いてるとなんか青い空とさわやかな風が吹く真っ白い砂浜っぽいじゃないですか?実は歌詞の内容は全然違います。Ride like the windは風のようにヒューッと行くという意味です。どこに行くんでしょうね?
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今は夜だ
オレはもう疲れ果てた
ずっと逃げ続けて、寝ることもできない
風のように駆け抜けてもう一度自由になってやる
だがメキシコ国境まではまだ先は長い
急がなくちゃ
親ガチャには外れちまった
ピストルは子供のときからおもちゃみたいなもんだった
しぶとく生き延びてきたさ
そしてこれからも
逃げ切ってやるさ
それにしてもまだメキシコは遠い
よし、急ごう
判決は死刑だってよ
首吊り台になんか上るつもりはないぜ
そもそもオレは他人の言うことなんか聞きゃしないんだから
教会の鐘の音が聞こえる頃には風のようにおさらばさ
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ボクも最初は大きな勘違いをしていました。クリストファー・クロスはデビュー当時コンサートもせず、ほとんど姿を現すことがありませんでした。今思えば、まぁビジュアルはちょっとアレで….声から想像するイケメンからはほど遠く、若いうちからずんぐりむっくりのわがままボディで頭髪控えめ、「おっさん」的な風貌だったんです。それで映像は控えめだったみたいなんです。いや、あの声には騙されるってw
この曲はメキシコに逃げ込む犯罪者の逃避行の歌なんです。風に乗ってゆらゆら~な歌じゃないんですよ。w騙されたのでしょ?w 日本で言えば群馬でのスピード違反は埼玉まで群馬県警は追って来られないみたいなもんですね。でも今はもう犯罪者引き渡し条約が結ばれているので、メキシコまで逃げても捕まったらアメリカに引き渡されちゃうんでもっと遠くまで逃げなくてはいけなくなりましたw
テキサスはメキシコと接している州です。メキシコからの密入国は後を絶たず、国境警備はとても厳しく取り締まっています。どこの国でもそうなんですが、外国人は常にパスポートを携帯することが義務付けられています。旅行者だけじゃなくて住んでいても。でも失くすといけないから実際にはパスポートは家におきっぱなしのことが多いんです。
旅行中、国境から100キロほど離れた2級国道を走っていると、国境警備隊の検問がありました。パスポートなんか当然家に置きっぱなしで旅行していました。まさか国境から100キロも離れたところで検問をやっているとは思いませんでした。密入国者は暗い細い2級道路を逃げるので、そこに検問がありました。ボクはパスポート不携帯で、身分確認(正規のビザを持って入国している)のために3時間足止めされました。「ニューヨークやカリフォルニアでは知らないが、ここテキサスでは外国人はパスポートを携帯しないとダメだ!」と思いっきり南部訛りで叱られたことがあります。 曲調はとてもさわやかなのに、実はあぶないこともあるというのは、クリスの地元、サンアントニオを思い浮かべます。アメリカのベニスと言われていて、市内を流れるサンアントニオ川沿い、4キロに渡る遊歩道にはレストランやカフェが並び、市民や観光客の憩いの場です。年間1000万人以上が訪れる観光地でもあります。一度夏の暑い日に行ったときは幼稚園のときに通いなれた前橋の広瀬川思い出しました。