今週は、QueenのThe Show Must Go On(ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン)をお届けします。
The show must go onはクィーンのフロントマン、フレディ・マーキュリーの最期の曲となりました。
直訳すると「ショーは続いていかなければならない」と言う意味です。一度幕が上がったら最後まで止めるわけにはいかない、ということです。
クィーンといえば大がかりな劇場ロックですが、晩年は特に大仰な曲が多かったんですね。
不治の病に冒されて以降、アルバムタイトルもマジックとかミラクルとかになりました。ショーマストゴーオンは、フレディ・マーキュリー存命時最後のアルバム「イニュエンド」からのシングルカットです。リリース時点でフレディの様態は悪化していて、MVの撮り下ろしができず過去のMVの継ぎ接ぎのコミカルタッチのMVだったところが一層悲しみを募りました。
ショーになぞらえて人生を歌った歌なのですが、ライザ・ミネリに憧れを抱くフレディ・マーキュリーにとって、ステージこそが居場所でありエンターテイメントこそが生きる意味だったのではないでしょうかね?
1番ではフレディが独特の甲高い声でショーマストゴーオン!と叫びます。それはまるで、「まだ生きたいんだ!」と叫んでいるように聞こえます。
2番以降はブライアンとロジャーのコーラスが被さって、包み込むように歌われています。まるで「フレディ死ぬなよ、生きろよ」と励ましているように聞こえてきます。
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虚無の世界
僕たちは何のために生きているのか?
諦めて棄てたもの
結果が見えてしまったから
そんなことの繰り返しさ
一体僕らは何を求めているんだろう?
今日もまたどこかでヒーロー気取りが人助けをし
僕らはまるで影絵を演じているようなものさ
こんなことをいつまで続ければいいのだろう?
それでも
ショーは続くのさ
続けなければならないのさ
心はとっくに折れて
化粧は剥がれ落ちているけれど
それでもボクは笑顔を絶やすことはないのさ
何が起ころうと、運を天に任せようと思うんだ
心の痛みも失恋もいつものことさ
そんなことの繰り返しで僕らは一体どこに向かっているのだっけ?
多分ボクはまだ学びの途中なんだ
もうすぐ暖かい光に包まれるだろう
そう、すぐそこの角を曲がったら
そこには夜明けが待っている
ボクの心は真っ暗で身体はボロボロだというのに
それでも生き続けなければいけないと思うんだ
まだ終わりじゃない
心はとっくに折れているけれど
化粧は剥がれ落ちているけれど
それでも、それでもボクは笑顔を絶やすことはないのさ
ボクの魂は蝶々の羽のようにキラキラしている
今までのおとぎ話のような人生はこれからもみんなの心には残るだろう
決して忘れられることはないはずさ
(力強く)なぁみんな!ボクは飛べるのさ!
だから ボクはショウを続けるよ
終わらせるわけにはいかないんだ
顔には不敵な笑みを浮かべ
諦めやしない
ボクの命はステージの上にあるのだから
演じ続けてやるさ
それがボクの生きる意味なのだから
さあ、ショウを続けよう
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この曲を書いたブライアンは、高音部分をフレディが出せるか半信半疑のままフレディに楽譜を見せたそうです。するとフレディは「もちろんできるさ」と答えたそうです。
映画ボヘミアンラプソディで描かれた通り、フレディ・マーキュリーの人生は、表舞台での華やかさとは裏腹になかなかに厳しいものでした。英国の外交官のペルシャ人の両親のもとに、赴任地のアフリカ、ザンジバルに生まれ、幼少期をインドで過ごしました。
ロックバンドのボーカルというだけでは狭すぎると感じるのがフレディのジャンルだと思います。むしろ極度の目立ちたがり屋のエンターテイナーといった方がしっくりくる彼の壮絶な人生は、華やかであり、空しくもあったのでしょう。そういう人生を送る人の「心」というのはとても熱く、とても強いのだと思います。
何かを成し遂げる人というのはみんなそんな熱いハートを持っているんですよね。