今週はサザンオールスターズの名曲「いとしのエリー」の英語カバー Ellie my loveを歌うレイチャールズです。
レイチャールズは5月にビリージョエルとのデュエット曲を紹介しましたね。アメリカ南部、ジョージア州出身のピアノシンガーです。R&B、ジャズ、ブルース、ゴスペルといったソウルミュージックの大御所です。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」では第2位、そして同じく「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」では第10位にランキングされています。
6歳のときに緑内障のため失明しましたが、そのハンデながらピアノを習得しました。その後シアトルに引っ越してクインシー・ジョーンズと出会いました。シアトルに移ってしばらくして、R&Bチャートで2位のヒットを放ちますが、デビュー当初は専門家からの評判は今一つでした。
ちょっとお薬好きなことや、R&Bとゴスペルの融合を考えていたりしたので、格式ばったキリスト教徒からも評判は芳しくなかったんですね。
その後もヒットは飛ばすんですが、黒人差別反対問題で故郷のジョージア州とももめたり、波乱万丈の一生を過ごしたのち、2004年に肝臓がんで一生を終えました。
さて、そしてこの曲は言わずと知れたサザンの名曲で、ボクら世代だと「ふぞろいの林檎たち」のエンディングの♪えぇぇぇりぃぃぃぃぃぃ~というシャウトが印象に残ってると思うんですが、残念ながらレイチャールズバージョンではレイはシャウトしてません。比較的ジャズっぽくアレンジされていると評されています。きっかけは、あるお酒メーカーが、日本の曲のカバーを歌って欲しいとレイに持ち掛けたからだそうです。レイは桑田佳祐の好きなミュージシャンの一人だそうで、カバーされたときは桑田佳祐は「それはもううれしかったね。嬉しいを超えてますよね。もろもろの事情から日本語で唄うわけにはいかないから仕方ないにしても、日本語で唄った方が化粧のノリが良い歌だと思いますね」とコメントしています。
詩の内容なんですが、オリジナルとはちょっと違うので聞いてみてください。
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泣かせたこともあるし、冷たくもした
でもキミと離れてよそに行っても全然幸せじゃないんだ
Ellie, my love so sweet
捨てちゃえよという心の声があったから、キミから離れてしまったけれど
キミを抱いて眠らないと、明るい朝は迎えられない
笑ってもっとベイビー
キミはボクの心の中にずっといる
一緒に飲まないか?
今度はうまくいくはず
ほかの誰でもない、キミじゃなきゃだめなんだ
これからはキミが望むならなんでもするよ
Woh, Ellie, my love so sweet
もう一度…
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ね?オリジナルはエリーがどこかに行ったらどうしよう?ですよね。レイチャールズバージョンでは、ボクの方が一度エリーを捨てちゃってるんです。わんぱくなレイチャールズは実生活でも女癖が悪かったそうなので、そんなことも影響したアレンジなんでしょうね。
♪えぇぇぇりぃぃぃぃぃぃ~というシャウトは、一途に思っているからこそ叫べるんであって、そんなことを言えた状況じゃないということなんだと思いますw
さて、今回訳ではEllie, my love so sweetのところはそのままにしておきました。ほら、「愛してる」とかムーちゃんが恥ずかしがるじゃないですかw
つい最近なんですけどね、Facebookの英語のグループの中でこんな投稿があったんです。
あなたはどの言葉が一番言えないですか?
1.愛してる。2.自分が間違っていた。3.助けてください。(手伝ってください)4.ウースターソース(これは、英語ではウーセスターシャーと書いてウースターシャーというイギリスの地名のソースで、英語ではちょっと言いづらい発音なんですね)5.ありがとう
という問題があったんです。
ムーちゃんだけでなく日本人だとこれは「1.愛してる」が一番言いづらいんじゃないですかね?
恥ずかしいですよね。
ボクは4番のウースターシャーソースが言いづらいと思ったんです。だって言いづらいからこそ日本では略してウースターソースって言うわけですし。
でね、アメリカ人の多くの人の回答は、3番の「助けてください」だったんです。8割以上の人がそう答えてたんでびっくりしました。もちろん、舌が回らなくて言いづらいって意味じゃありません。日本人が「愛してる」を言いづらいのと同じ理由で言いづらいんです。
日本人的には、助けてくださいとか、ちょっと手伝ってくださいってニュアンスの言葉は全然抵抗ないんじゃないでしょうか?
アメリカのキリスト教文化では、自分の役割、他人の役割がきちんと決まっていて、「チームワーク」って努力しないと作れない文化なんです。日本だとチームワークなんて当たり前みたいなものですよね。
文化の違いで、こうも違うものかと改めて感じました。