今週は、エリオット・スミスのミス・ミゼリーをお届けします。
歌うのはエリオット・スミス。アメリカ中部、トウモロコシ畑いっぱいで、投資の天才、ウォーレン・バフェットの故郷であるネブラスカ州出身でテキサス州とオレゴン州で育ったシンガーソングライターでした。エリオットというのは芸名でして、本名はスティーブンと言います。通常はスティーブンのニックネームはスティーブなんですが、高校時代、スティーブンだと「がり勉っぽい」、スティーブだと「スポーツマンっぽい」という理由で丁度いい感じのエリオットと名乗るようになったのだそうです。まぁなんとなく言わんとすることはわかる気がします。スティーブとかマイクとかは一軍の名前ですね。
エリオットは、大学時代にオレゴン州ポートランドで音楽活動を始めました。最初は友人とオルタナティブ・ロックのバンドを組みました。ポートランドに本社を置く大手空調会社、ヒートマイザー社の名前を借用してバンド名にしましたが、数年でソロになりました。
今週の曲、ミス・ミゼリーですが、1997年のマット・デイモンの出世作、グッド・ウィル・ハンティングのエンディング曲として使われ、アカデミー賞にもノミネートされました。
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ずっと現実から目を背けて生きているんだ
ジョニ赤の助けを借りて
毒の雨が溢れ、罪の意識がどんどん溜まっていく
二枚のチケットは半分に引き裂かれている
何もすることがないのが続いている
そう言ったよね?
公園で出会った見知らぬ男がボクの頭の中に話しかけてきたんだ
「キミは強い」って
「何をやるにしてもまず大丈夫だ」
だからボクは言ったんだ
「ボクの何がわかるんだ?」ってね
そしたら彼はこう言った
「この街を出るんだ!雑誌でしか見たことがないところに行くんだ!」
ウソで固めた生活からはおさらばだ
どうせキミはもう傍にはいないし、
でもボクはまじめに生きるよ
ボクが恋しくないかい?ミス・ミゼリー
そう言ったよね?
本当は今のボクを見ているくらいならいなくなって欲しいって思っているのはわかっているさ
でもボクにはどうしようもない
失敗の連続でまるで喜劇みたいだろう?
落ち続ける未来を受け入れるよ
それでもきっとみんなはいつか忘れてくれる
そういうもんだろう?
もしキミがボクを必要とするならば、ボクはいつでも帰って来る
わかってるだろう?
ボクが恋しくないかい?ミス・ミゼリー
そう言ったよね?
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男の女々しさ全開の失恋の歌ですね。こういう歌のときボクは、「うじうじしてないで次行け、次!」と思っちゃいます。
ミゼリーというのは、レ・ミゼラブルのミゼラブルと同じ語源で、「みじめ」とか「悲惨」という意味です。
映画、グッド・ウィル・ハンティングはマット・デイモンがハーバード大学の学生時代に友人のアルマゲドン、アルゴのベンアフレックと共同で脚本を作った映画です。マサチューセッツ工科大学を舞台に、数学の天才たちが解けない問題を清掃アルバイト役のマット・デイモンが解いてしまう。このマットがちょっと変わった、人生を斜に構えた人なんですが、それがある女性と知り合うことで段々変わっていくという物語です。
そんなにみじめな話ではありません。
この曲、アカデミー賞にノミネートはされたものの、アカデミー賞はタイタニックの主題歌、セリーヌ・ディオンのMy heart will go onが圧倒的大差で受賞したので、ここはちょっとかわいそうですかね。
そして、エリオットはロサンゼルスで日系人の彼女と同棲をしてたんですが、2003年、自宅で胸に刺し傷を負って死んでいるのが発見されました。自殺か他殺かは今でもわかっていません。