今週はニルバーナのスメルズ・ライク・ティーン・スピリットをお届けします。
ニルバーナはアメリカ西海岸北部のシアトル出身のロックバンドです。90年代、西海岸南部のロスアンジェルスを中心としたLAメタルは古い!とジェネレーションXに支持されて人気になった、今のグランジロックの走りのバンドです。「酒と女とロックとバイク」みたいな何の悩みもない「パーティーやろーぜー!」のLAメタルとシアトルのグランジの違いは、冬でもTシャツでいられる、太陽サンサンのカリフォルニア。シアトルの夏はものすごく雨が多くて、「アメリカ中が日焼けする夏、シアトルの人はサビる」でおなじみのシアトルの気候の違いも原因の一つなのかもしれません。
まぁグランジというのはアングラ系と言われていますが、どちらかというと三軍的な根暗なオトモダチの逆襲的な音楽だと思っています。自分の結婚式にパジャマで出席したリーダーのカート・コバーンのエピソードからパジャマ・ロックとボクは呼んでいます。パンクほどの過激さはなく、これならボクにもできる!的な支持を普通の若者から得たんですね。
今日ご紹介するスメルズ・ライク・ティーン・スピリットは、生後間もない赤ちゃんが水中を泳いでいるアルバムジャケットで有名なセカンドアルバム、ネバー・マインドからの最初のシングルカットです。
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準備はいいか、友達も呼んじゃえよ
気を失いそうになってるのに平気なふりをするのがおもしれーよな
彼女は彼女で、ラリッて有頂天になってる
またやっちまった、汚い言葉で暴れちまったぜ
ハロー、ハロー、ハロー(←ラリった感じで)
灯りを消したらもう安心さ
さぁ、俺たちを楽しませてくれよ
バカやってやるぜ
ほら、お前もやろうぜ
ムラート、アルビノ、モスキート、リビドー
俺は得意なことさえうまくできない
そんな才能があって何になるって言うんだよ!
どうせ俺は友達も少ない
ずっとそうだった
きっとこれからも死ぬまでそうだ
あれ?なんでこんなものを食ってるんだ?
あぁそうだ、これ、俺の好物なんだった
難しいってことがわかったよ
そう簡単には見つけられないってことが
んーーーー….?
わかんね
なんでもね
あぁ….自己嫌悪
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歌詞の意味の解釈が難しいという意見が寄せられましたが、それもそのはず、作者のカート・コバーン自身が「みんな考えすぎw 大した意味はないんだよ」と言っていますから、考えなくていいんじゃないですかね。
この曲のタイトルは、そのまま読むと「青臭い」という意味に聞こえるんですが、ティーン・スピリットというのは女性向けのコルゲート社のデオドラント(脇の下の臭い消し)の商品名で、これは、当時付き合っていた彼女が使っていたデオドラントの臭いがするとカートがからかわれたエピソードからついたんだそうです。
歌詞の中にはムラート、アルバイノ(日本ではアルビノ)、モスキート、リビドーという言葉が出てきます。
ムラートは白人と黒人の混血のことです。
アルビノは遺伝子欠損によりメラニン色素がない疾患、白子(しろこ)のことです。
モスキートは蚊。
リビドーは性欲のことです。
曲の内容に関係なく、明らかに韻を踏んで音符を埋めている言葉なので、訳でもそのままにしておきました。
ニルバーナは、ヒンズー教や仏教で、輪廻から解放された状態のことを言います。日本語でいう涅槃のことです。リスナーのみなさんの多い昭和の人にとって、「涅槃で待つ」という言葉が思い出されますね。
リーダーのカート・コバーンが薬物でハイになっている状況で自殺を図ったことでバンドが解散したことでグランジもまた地下に潜ることになります。