アイルランド出身の社会派ロックバンド、U2の1983年の曲です。日本ではあまり馴染みがないバンドですが、実はグラミー賞を22作品で獲得してまして、“ロック・バンド史上最多”、“グループアーティスト史上最多”の超ビッグバンドなんです。ボーカルのBono(ボーノ)はノーベル平和賞の候補になったこともあり資産700億円で世界で2番目に裕福なロックスターだとか
来日回数が少ないんですが、加えて社会派のU2の歌詞は人権とか宗教とか反戦とか、重い内容なんですね。色んなところに政治的コメントをしたりもして、一時は反日だと思われることもありました。(反日ってわけではなさそうなんですけど)
そんなことが原因で、日本でイマイチ人気が出ないのはちょっと残念です。
曲名から、1972年の血の日曜日事件が連想されます。血の日曜日事件というのは、英国対アイルランド、つまりアングロサクソン対ゲール、即ちプロテスタント対カトリックの対立によって引き起こされました
英国は、グレートブリテン島(能登半島みたいな形の島)全土とその西(地図の左側)にあるアイルランド島の北部を合せた部分が領土です。
アイルランドの残りの部分はアイルランド共和国という別の国で、U2はこのアイルランド共和国の人です
アングロ人中心の国英国は主にプロテスタントで、ゲール人の国アイルランド共和国はカトリックなんですね
同じキリスト教なんですが、プロテスタントとカトリックはまぁあんまり仲が良くないんです
アイルランド島は、北アイルランド(英国)、=アングロ人でプロテスタントと、アイルランド共和国、=ゲール人でカトリックの紛争の地なんです
アングロ人とゲール人は同じ白人なんですけど、なんとなく見るとわかるというか、日本人と中国人と韓国人くらいの違いがあります
北アイルランドでのイギリスによる統治反対のデモ隊に英国軍が発砲して死傷者を出したという悲しい事件が血の日曜日事件です
この事件をモチーフにした曲ですから、政治的メッセージとしては英国への反逆と捉えられがちなんですが、U2自身がそれは否定していて、もっと広い視点からの歌だと言っています
当時テロ活動を活発にしていた北アイルランド独立派の過激派IRAと自分たちは違うという位置づけです
血の日曜日事件そのものは、いわば北アイルランドで最も有名な一つの小さな出来事で、根本の問題は、人々が辛苦と憎悪に溢れて、人々が死んでいるということなんだ。プロテスタントとかカトリックとか、そんなことより人々が死んでいることこそが真の戦いなんだよ。
ゲール人・カトリックのアングロサクソン・プロテスタントへの抗議ではなく、人類全体の平和の歌だと評しています。
因みに、アイルランド共和国の国旗は三色旗なのですが、カトリックを象徴する緑、プロテスタントを象徴するオレンジ色の間に平和と融和を意味する白となっています。
大学のサッカーのサークルではゲール人の宗教学の教授とチームメートでした。最初話したときはイタリア語だと思いましたw
それくらい、英語と言っても全然違うアメリカ英語側からすると、言っちゃぁ悪いけどズーズー弁なんです。
U2も歌う時はアメリカ英語に寄せて歌っていますが、普段はゴリゴリのアイルランド弁の英語ですw
アイルランド語じゃなくて、アイルランド英語で歌ったとしてもあんまり売れなかったかも知れませんw
アイルランドのことをもう少し紹介すると、
風と共に去りぬのスカーレット・オハラとか、先週のギルバート・オサリバンですが、苗字の頭のオ(O’)はアイルランド語で、子孫を意味するんですね。オハラはハラさんの子孫、オサリバンはサリバンさんの子孫という意味です。オが付いていたらアイルランド系なんだなとわかります
最後にもう一つ、身近にアイルランドがあるんです
ハロウィーンです
ハロウィーンはもともとはアイルランドのお盆みたいなものなんですね
先祖の霊と一緒に出てくる悪霊に連れていかれないように、悪霊と同じような恰好をしてつかまらないように変装したのがハロウィーンのはじまりなんです