ゴールデンウィークは如何でしたか?今週は、ブラック・サバスのアイアン・マンをお届けします。
ブラック・サバスはイギリス中部バーミンガム出身のヘヴィメタルやドゥームの開祖と言われている大物バンドです。1960年代から2017年まで約50年活動していました。バンド名はホラー映画のタイトルからつけられました。サバスというのは「安息日」と言う意味です。黒い安息日ですから、まぁ悪魔チックなネーミングなわけで、おどろおどろした曲が多いです。中心メンバーはプリンス・オブ・ダークネス、闇の王子ことオジー・オズボーンと左利きのギタリスト、トニー・アイオミです。どっちもおっかないルックスをしています。
オジーはバーミンガムの労働者階級の家に生まれ、学校にはほとんど行かず、少年時代から酒代を得るために盗みを繰り返すような生活をしていました。大人になってもなかなかの問題児です。悪魔的演出として彼はライブでステージから生の肉を観客に向けて投げつけるというパフォーマンスが恒例になっていました。あるとき、観客がオジーに投げ返したコウモリの死骸を、そうとは知らず(作り物だと思って)クビを嚙み千切ってしまいました。ライブは大盛り上がりだったのですが、コウモリは狂犬病の媒介者なので、オジーは病院に緊急搬送され、治療には何か月も要したそうです。この事件で一段と悪魔的要素がオジーの代名詞になりました。
もう一人のカリスマ、リフ魔人、トニー・アイオミですが、こちらもなかなか波乱万丈の人生でして、バンドデビュー前は板金工をしていました。仕事中にプレス機械で中指と薬指の先端を切断する事故を起こしてしまいます。ギターは指サックをしてプレイしているのですが、握力の弱さをカバーするために彼のギターは1音半下げてチューニングされています。それが彼の特徴である重低音のギターリフを生んでいるわけです。ブラック・サバスの魅力の一つはトニーの奏でるヘビーなギター・リフであるのは間違いありません。
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ヤツは正気なのか?
ヤツには周りが見えているのか?
歩けるのだろうか?
それともすぐに躓いて転んでしまうのか?
生きているのか?
頭は動いているのか?
俺たちはヤツの前を素通りする
誰も気に留めないのさ
だからヤツは鋼鉄になった
時空を超え強力な磁界を通り
人類の未来になった
誰もヤツを気に留めない
だからヤツはじっと世界を見つめている
そして復讐の機会を狙っている
そしてついにその時は来た
アイアン・マンが世界を恐怖のどん底に陥れるときが
死の世界から蘇り復讐をするのだ
一度は助けた人々を、今度は殺していくのだ
誰もヤツを気に留めない
誰もがヤツに背を向けた
味方は一人もいない
さぁ復讐の時が来た
鉛のブーツの重々しい音が人々を恐怖に陥れる
逃げまどえ
アイアン・マンが蘇ったのだ
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この曲、マーベルコミックのアイアン・マンとは関係ありません。関係なかったのですが、のちにアイアン・マンの映画のエンド・クレジットのBGMにこの曲が流れたり、主人公のトニー・スタークがブラック・サバスのTシャツを着たりと後から関係はできたそうです。
この曲、ヘビメタの定番曲として、メガデスやパンテラといった大御所メタルバンドがカバーしているほか、面白いところではどゆソンでも紹介したカーディガンズもカバーしているんですね。もちろん、カーディガンズ・バージョンは幾分ポップになっています。
サバスのおどろおどろした「オカルト」「黒魔術」的なイメージはフロントマン、オジーの奇行もさることながら、トニーの狂気的に繰り返されるリフにもあると思います。みなさんももうあの♪ダーダーダ ダンダンダン ダダダダダダダダ ダンダンダンが耳に残ったでしょう? ちょっと春らしくなかったかもしれませんね。