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2022/12/19 ♯99 2022-50  じょーじ船瀬のどゆ意味このソング Zanzibar

今週はビリージョエルのザンジバルをお届けします。英語ではザンジバーと発音して、このバーが飲み屋のバーとかかってるんですね。

ビリーの曲が一番ニューヨークっぽかった時代、1978年にリリースされた6枚目のアルバム「ニューヨーク52番街」52nd Street(フィフティセカンド・ストリート)に収録されたジャズィーな曲です。間奏はほんとうにジャズですが、トランペットを演奏しているのはフレディ・ハバードであることはかなり後で知りました。フレディ・ハバードといえば大物ですよね。トランペットを持って壁に寄り掛かるビリーの姿を捉えたアルバムジャケットの写真は、タイトルの由来にもなったマンハッタン52丁目にあるスタジオ前の歩道で撮影されたんだそうです。

ザンジバルはアフリカ東海岸に位置する元イギリス領で、フレディマーキュリーの生誕地でもあるんですが、この曲は架空の、ニューヨークのウエストサイドにあるスポーツバーです。ブルーカラー代表のビリーが仕事が終わるといつも行く飲み屋での一場面です。1970年代ですから、スポーツバーと言っても今みたいな大画面のスクリーンがあるわけではなくて、26インチくらいのブラウン管テレビが上の方に吊されているバーです。

アメリカって日本で言う居酒屋的お店は無くて、バーというと音楽がかかっていたりライブバンドが演奏しているようなところか、スポーツバーです。この曲はスポーツを見ながらバーで飲んだくれる、スポーツバーでよくあるというか唯一の一コマ。

そこでの話題は、もちろん放送されているスポーツと女の人に決まってます。当時はタバコの煙もすごかったですね。

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アリがリングで舞うと観客は熱狂する

汗にまみれているのに、アリ動きはしなやかだ

あんまり突っ込みすぎるなよ?もう1ラウンドあるんだから?

オレ?オレはただの客さ

ザンジバーのね

ウエイトレスがこっそりオレを誘ってくる程度には常連さ

彼女のボロアパートでよろしくやらせてもらってるさ

車は親父のお下がり

ジャズギターは持ってるけど

ザンジバーでは付けで飲んでるのさ

今夜もそこで飲むことになるだろうよ

ローズがいると試合が締まるのは間違いない

でもいつも朝刊の見出しはヤンキースのほうさ

メロドラマは白黒でもまぁ面白いやね

俺は二塁を狙っている(彼女との関係が進展するのを狙っている)

彼女がサインを出せばいつでも盗塁するつもりさ

そのときはすぐ来るさ

だからまだ終わっちゃいない

ジャズギターは持ってるけど

ザンジバーでは付けで飲んでるのさ

今夜もそこで飲むことになるだろうよ

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アルバムジャケットの写真はビリーがレコーディングに使っていたスタジオのに近くの7番街と西52丁目の角あたりで撮影されました。ここはタイムズスクエアの北側に位置します。ピッツバーグの田舎の学生時代、いつかニューヨークで働きたいと思っていた頃、ニューヨークに旅行したときにアルバムジャケットと同じ場所で写真を撮りました。30代後半、東京に戻ってからはニューヨークにちょくちょく出張で訪れました。そのときよく泊っていたシェラトンホテルのすぐ近くなので、ここを通るたびに思い出したものです。

曲の冒頭に出てくる「アリ」は蝶のように舞い蜂のように刺すでおなじみのモハメド・アリ、そして「ローズ」はメジャーリーグ、シンシナチ・レッズの火の玉ボーイ、ピート・ローズ。日米野球で日本にも来ましたよね。きっと盛り上がったんだろうなとその情景が目に浮かびます。野球シーズンの春、夏、アメリカンフットボールは秋から冬、バスケットボールとホッケーが冬から秋と一年中何らかのスポーツを見て盛り上がります。ニューヨークには野球がヤンキースとメッツ、フットボールはジャイアンツとジェッツ、バスケットボールのニッカーボッカーズとネッツ、ホッケーにレンジャース、アイランダース、デビルズがあります。それぞれのスポーツで贔屓チームがあります。ボクはニューヨークではヤンキース、ジャイアンツ、ニックス、レンジャースを応援していました。住んでいるところのチームを応援しているので、ボクの場合はピッツバーグのパイレーツ(野球)、スティーラーズ(フットボール)、ペンギンズ(ホッケー)、サンフランシスコのアスレチックス(野球)、今はラスベガスに移転してしまったレイダーズ(フットボール)、ウォーリアーズ(バスケット)、シャークス(ホッケー)を応援しているので、試合結果をチェックするのがちょっと大変です。

同じスポーツで二つのチームがある都市はニューヨークのほかにもシカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコがあります。どちらかのチームがホームゲームを行っている間はもう一方のチームはアウェイで戦うようにスケジュールが組まれています。

曲中に出てくるピートローズは、晩年野球賭博をしていたことが発覚して野球界から追放されてしまいました。アルバムでは「ピートローズがいると試合が締まるのは間違いない」だったんですが、その後のライブでは、「ピートローズは一生野球殿堂には入れない」と歌詞が変わっています。

この街にもスポーツバーがありますよね。早くそういうところで大騒ぎできることができるようになるといいですね。

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