今週は、QueenのSeven Seas of Rhye (輝ける七つの海)をお届けします。
この曲は1974年にリリースされた二枚目のアルバムQueen IIに収録されたヒット曲です。
イントロ部分のピアノの♪タリラタリラタリラランというキャッチーなリフはファースト・アルバム『戦慄の王女』にインストゥルメンタルバージョンとして収録されていましたが、その曲をモチーフにフレディが歌を入れたのがこの曲です。Rhye(ライ)はフレディが子供の頃に想像した空想の世界の名前だそうです。Rhye(ライ)は3枚目のアルバムのバラード曲、「谷間の百合」の中でも「七つの海からの使者がライの王が王位を追われたと伝えた」という歌詞が出てきます。
フレディのピアノとブライアンのギターが絡み合って幻想的な世界を見せてくれるQueen初期の名曲です。もう50年も昔の曲なんですが、全然色あせていないどころか、最近の曲だと言われても疑わないと思いますよ。2018年に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、この曲をレコーディングするシーンが含まれているんですよ。
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恐れをなすがよい、汝ら自堕落で偽善的な伝道者たちよ
今、我は天よりこの地上に降り立ち
汝らに厳命する
心して聞くがいい
七つの海からすべての我のものをここに持って参れ
下僕どもよ、我の声が聞こえているか？
我はここに全てをさらけ出す
我の威厳を汚す不届者は誰であろうと容赦なく還付なきまでに叩きのめす
汝らは全て我のモノなのである
世界中のすべて、七つの海は我の手の中にあるのだ
なんなりとお申し付けください
私たちは永遠に、あなた様の忠実な僕でございます
マラトンの勝者の嵐の中を我は飛んですり抜けるであろう
雷（いかずち）の光をも我を止めることはできない
自然の摂理をも我を支配することは叶わない
我は汝ら薄汚い偽善に満ちた政治家たちを許すことはない
善きは讃え、
悪は、タイタンとその太鼓持ちであろうと打ち砕いてみせよう
そして我は笑みを浮かべ
善き汝らを輝ける七つの海へと導かん
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七つの海というのは「全世界」という意味を表す表現で、貿易で生計を立てていたアラビア人が最初に使った言葉です。中世アラビア人は、彼らが帆船で航海した全ての海を7つに数え上げました。古くはシンドバッドでおなじみの「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」にも出てくる表現です。
この七つの海ですが、全世界という意味ですから、世界観が大きく影響しています。
現代の七つの海は、太平洋、大西洋はあまりにも大きいので各南北に分けて、北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、それにインド洋、北極、南極海で七つの海です。しかし中世アラビア半島(ササン朝ペルシャの時代（覚えてますかぁ？学校で習いましたよ？w）では大西洋に、地中海、それに紅海、ペルシャ湾、アラビア海、ベンガル湾といったインド洋の大陸沿岸部の海から今度はシンガポールのマラッカ海峡を通って南シナ海と、ほとんど海のシルクロードと一致する海を意味しました。アラビア人の交易の範囲だったんですね。
同じころ、ヨーロッパでは多少異なる範囲を七つの海と呼んでいて、大西洋 地中海 黒海 カスピ海 紅海 ペルシャ湾 インド洋を指す言葉でした。コロンブスやマゼランの大航海時代になって、「七つの海」の範囲は実際に全世界になりました。大西洋 地中海 カリブ海 メキシコ湾 太平洋 インド洋 北極海（北氷洋）です。
フレディにとって七つの海ってどんな世界なんでしょうね？ 1枚目、2枚目のアルバムでは、白の女王、黒の女王のほか、ねずみ大王や妖精の王様などを歌ったファンタジーな曲が数々あります。アフリカ、インドで幼少期を過ごしたことが空想の世界の広がりにも影響しているのかもしれませんね。
そして、このライなんですけど、Rhyeは空想の場所なんですけど、同じ発音でライ麦のRyeという地名が実は存在します。一つはイギリス南部で海に面した小さな町で、ロンドンから1時間半ほど。サッカーワールドカップで「三苫の1ミリ」でおなじみの三苫選手所属のブライトンと、ドーバー海峡の街ドーバーの中間くらいにあります。ブライトンはQueenの3枚目のアルバムにBrighton Rockという曲もあります。
そしてアメリカ・ニューヨーク郊外のウエストチェスターにもリゾート地の雰囲気がある高級住宅地ライがあります。ボクは上司が住んでいてよくゴルフに行きました。効率学校のレベルが高いので日本人には人気でした。カントリークラブも東海岸の名門の一つです。ボクが想像するライはどうもこの実際にあるライに引きずられるんですよねぇ。グーグルマップで探したんですけれど、Ryeはこの二つでした。そしてRhyeは当然のことながらありませんでした。w