今週、エリック・クラプトンのチェンジ・ザ・ワールドをお届けします。クラプトンは今週日本でコンサートですね。1974年の初来日から数えて今回は23回目で2019年以来の来日になります。ちょくちょく来てるから見に行ったことがある人も多いんじゃないですかね。
今日ご紹介するチェンジ・ザ・ワールドは、96年2月に女性カントリー・シンガーのワイノア・ジャッドのアルバムに収録されて全米9位のヒットとなりました。エリックのバージョンよりも早いテンポで、ハンドクラップ(手拍子)でリズムを取っているので明るい感じに仕上がっています。一方その半年後にリリースされたエリックのバージョンは、よりゆったりとして、大人の余裕を感じますね。こちらは97年春頃には全米シングル・チャートで5位を記録しています。
日本ではケミストリー、倉木麻衣などがカバーしています。
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星に手が届くなら、キミに一つ取ってあげてられるのに
ボクの心を照らしてみれば真実が見えるってもんさ
この愛こそがすべてさ
今のところは、それはボクの夢でしかないけれど
ボクは世界を変えてやる!
ボクがキミの宇宙の太陽の光になるんだ
ベイビー、もしボクに世界を変えることができたなら….
もしボクがたとえ1日だけでも王になれたなら
もちろんキミがボクの妃(きさき)さ
そしてボクたちの愛こそがボクらの王国を統治するんだ
それまではどんなに愚かだと思われようとその日を待ち続けるのさ
ボクは世界を変えてやる!
ボクがキミの宇宙の太陽の光になるんだ
キミはボクの愛に包まれるのがどんなに心地よいかわかるだろう
ベイビー、もしボクに世界を変えることができたなら….
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簡単な内容の歌詞そうですが、実は今回ボクはどゆソン史上一番悩みました。
みなさん中学英語を思い出してください。
「仮定法」
中学校のときに習いましたよね?謎の文法「仮定法」
仮定法とは何かを調べてみると、「事実ではない主観的な想像や仮定の話をするさいに用いる表現」という説明が出てきます。そして、「事実ではない仮定」のほうに目が行って、普通のifとどう違うんだよ?という疑問が解明されることなく、なんとなくよくわからない文法「仮定法」と消化不良の人が結構いるんじゃないでしょうか?
それもそのはず。だって日本語には仮定法がありませんから。
ボクは中学生に、仮定法は「すっぱい葡萄」、「負け惜しみ」、「妄想」と教えています。「事実ではない『主観的な想像』や仮定の話」なんです。
例えば、彼女にプロポーズするときは、仮定法で言ったら絶対撃沈します。ここは普通のifで(直接法って言います)
「ボクと結婚してくれたら、あなたを幸せにします!」と意志を示さないといけません。
「ボクと結婚してくれたら、あなたを幸せにするのになぁ….」
これって言う前から諦めてますよね。これが仮定法です。
逆に、高校時代の憧れの女性が1軍のスターと結婚するときは仮定法で、「俺と結婚してりゃ幸せになれたのになぁ….」と負け惜しみを言うのはいいですが、
「俺と結婚してくれれば幸せにします!」と言ったら結婚式場から追い出されちゃいます。
曲中では、I can change the world!と直接法で、意志を持って「世界を変えられる!」というところと、
If I could change the world….と「世界が変えられたらなぁ….」と仮定法で弱音とも聞こえる表現の二つの用法が使い分けられています。
こんな部分に心の揺らぎが感じられる歌でした。 要するに直接法と仮定法は本気度の違いとも言えるのですが、日本語にはこの区別がないので、ボクはよく騙されてしまいます。「〇〇がしたい!」というのでお手伝いしようとして、「そんなに大変ならやっぱりやめた」と言われると、「なんだよ、じゃぁ仮定法で言えよ」と騙された気がしてがっかりするんですよねぇ。
今週は珍しく英文法のお話をしました。