今週は、トーキング・ヘッズのLife during wartime(戦時中の生活)をお送りします。
トーキング・ヘッズ は、1974年にニューヨークのグリニッチ・ビレッジで結成されたバンドです。ジャンル的にはインテリ・テクノ・パンクというかニューウェーブに分類されると思います。もともとメンバーたちははアメリカ東部ニュー・イングランドの超名門芸大、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで出会います。ロードアイランドはニューヨークとボストンの間にある州で、日本人にはあまり馴染みがないかも知れませんけど、この大学は日本画の所蔵がボストン美術館と並んでとても多いことでも有名な美大です。
さてトーキング・ヘッズは、ニューヨークではブロンディなどと同じ時期にパンクの聖地のライブハウスCBGBで活躍しました。リーダーはデイビッド・バーン。この人は天才特有の、目を見ても何を考えているのか想像ができない系の目をしています。
天才はよく言い過ぎました、狂気の目ですね。映画『ラストエンペラー』の音楽を担当し、坂本龍一らとともに、1987年度アカデミー賞作曲賞を受賞しています。名門芸大出身という共通点もありますね。
今日の曲は戦時中の生活という邦題の通り、戦時中の普通の人の生活についてを歌っているんですが、淡々とした感じで、MVの中ではクネクネダンスをしてるんです。やっぱりデイビッド・バーンの頭の中はボクにはよくわかりません。
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武器を積んだトラックの音が聞こえる
みっちり整然と積まれ、いつでも準備万端
ハイウェイ沿いに墓場があるらしいと耳に挟んだ
だがそれがどこにあるのか誰も知らない
遠くから銃声が聞こえる
いつの間にかそんなのにはもう慣れてしまった
お屋敷に住んでたこともあったし、バラックに住んだこともあった
この街の隅から隅まで知っているのさ
パーティーもディスコもお仕舞だ
遊んでる場合じゃないんだ
踊ったり乳繰り合ったりする暇はないのさ
前線に伝言を送らなきゃならない
いつか返事が来るといいけど
オレは3つのパスポートを持っている
ビザもいくつかあるさ
キミはオレの本当の名前を知ってると思ってるのかい?
丘の上ではせっせとトラックに荷を積んでいる
そろそろ始まるんだろう
オレは夜勤で一晩中働いている
もう家に帰ることはできないのかもしれないとさえ思う
今はパーティやディスコどころじゃないんだ
どろんこレスリングやCBGBでかまけてる場合じゃないんだ
ヒューストンがどうなってるか聞いたかい?
デトロイトやピッツバーグのことも聞いたかい?
窓際には立つなよ
誰かに見られたら大変じゃないか
食べ物なら何日か分くらいあるよ、ピーナツバターだってあるぜ
でも音楽はないんだ
スピーカーもヘッドフォンもない
まだ大学に行きたいとか言ってるのかい?
夜学でいいじゃないか
今がどんなときかわかってるのかい?
手紙なんか書いてる余裕が今はないんだよ
道には検問が敷かれているけど、人混みに紛れて通り抜ける
盗聴なんて今は当たり前のことさ
違法だってことは百も承知さ
学生の振りをする者、主婦を装う者、もちろんスーツにネクタイのビジネスマンの振りをする者もいる
髪型を何度変えたことだろう?もう今どんな髪型をしているかさえわからない
キミがオレを震えさせる、そしてオレはなめらかな気分だ
オレたちはきっとうまくやっていけるさ
疲れたなら少し寝ろよ、オレが運転するから
ノートなんて何の役にも立ちやしないからぜんっぶ燃やしちまった
そんなものがあっても生き残る足しになるわけがない
胸が熱い
かまどのように燃えている
この炎がオレの生きるエネルギーになる
命令に耳を澄まし、それに従えばいいのさ
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戦争中な感じはあんまりしなかったでしょ?ボクが唯一戦争を感じたのは、ヒューストン、デトロイト、ピッツバーグという地名が出てきたところです。ヒューストンは南部のテキサス州にある油田があるところです。デトロイトは北部ミシガン州の自動車製造が盛んな都市です。そしてピッツバーグは東部ペンシルバニア州の鉄の街です。共通するのは、戦時中、軍の機密作戦が展開されていたといわれている都市なんです。あぁ、戦争かぁと思いました。
ボクは塾で社会も教えてるんですけれど、「歴史は喧嘩と発明だからね」と教えています。
みんなが喧嘩するときの原因はどんなものがある?意見の違い、欲張り、不公平、でしょ?
戦争も同じだよ。キリスト教とイスラム教の信じるものの違いなんてもう1000年も喧嘩が続いているし、「おい、のび太!それよこせ」とジャンアンが言うみたいなことから始まった戦争もたくさんありますよね。ロシア・ウクライナなんかもそうです。そして誰かが何かを独り占めすると「ずるい!」って喧嘩になるんです。 戦争も同じです。テストに出るから年号を覚えるのも必要ではあるんですけど、今起こっていること、未来に起こりそうなことを考えるためには年号なんかより、なぜそれが起こったのか、今の状況とどう似ているのかを考えることのほうが大切じゃないかなぁと思います。